2022-06-21
不動産売却をおこなって利益(譲渡所得)が生じた場合には、その利益に対して譲渡所得税が課されるため、課税額を算出して確定申告する必要があります。
そして課税額を算出する際に必要なのが「減価償却費」です。
不動産売却をおこなうとどれくらいの税金が課されるのかを把握するためにも、減価償却費について理解を深めておきましょう。
今回は、不動産売却における減価償却費とはなにか、また計算方法や注意点について解説します。
つくば市やつくばみらい市などの茨城県南エリアで不動産売却をご検討中の方は、ぜひご参考にしてください。
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冒頭でもお伝えしましたが、減価償却費は、不動産売却によって譲渡所得が生じた場合に課される「譲渡所得税」の課税額を算出する際に必要です。
では、なぜ減価償却費が必要なのか、譲渡所得税と減価償却費の関係からご説明しましょう。
譲渡所得税とは、「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つの総称で、不動産売却で生じた譲渡所得に対して課される税金です。
譲渡所得は、以下のような計算式で算出します。
譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
それぞれの項目の内容は以下のとおりです。
つまり譲渡所得とは、不動産の売却価格から取得費と譲渡費用を引いて、最終的に残った利益を指します。
ただし、上記の取得費のうち、不動産の購入代金については、購入したときの金額ではなく、売却するときの不動産の価値で計算されます。
そして、売却するときの価値を算出するために用いられる計算方法が「減価償却」です。
不動産は年数が経過しても利用することができますが、劣化にともない、建物としての資産価値は下がっていきます。
資産価値が年数とともに減少していくものについては、購入代金を取得費として一度に計上するのではなく、一年に一定額ずつ減少した価値を計上します。
この手続きを「減価償却」といい、減少した価値を金額で表した数字が「減価償却費」です。
不動産のうち、減価償却の対象になるのは建物のみです。
土地は年数が経過しても価値が減少するものではないという考えから、減価償却の対象にはなりません。
建物は、購入したときから売却するまでの間に価値が減少しているとみなされるため、購入代金から減少した価値を、減価償却費として差し引く必要があるのです。
したがって、不動産売却における譲渡所得を算出する際、建物の取得費は以下のように計算します。
建物の取得費=購入代金-減価償却費
具体的にどのように減価償却費を計算するのかは、次章でご説明しましょう。
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不動産売却における減価償却費は、「定額法」という計算方法で算出します。
定額法とは、取得したときの購入代金を建物の耐用年数で割り、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法です。
以下の計算式に当てはめることで算出可能です。
減価償却費=建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数
この計算方法で用いる数字は、法律で定められています。
「償却率」とは、建物の価値が毎年どれくらい減っていくのかを表すもので、建物の資産価値がなくなる期間を材質や構造ごとに定めた「法定耐用年数」によって異なります。
建物ごとの法定耐用年数は以下のとおりです。
ただし、減価償却で用いる耐用年数は、法定耐用年数の1.5倍の期間として算出するため、住宅用の建物の償却率と耐用年数は以下のようになります。
※詳細は、国税庁のHPでご確認ください。
また、「経過年数」とは、購入したときから売却するまでの年数を指します。
では先述した計算式に数字を当てはめて、シミュレーションしてみましょう。
たとえば、建物のみの価格が2,000万円の木造住宅を、15年後に売却すると仮定します。
木造の償却率は0.031、経過年数は15年であることから、次のように計算できます。
減価償却費=2,000万円×0.9×0.031×15年=837万円
したがって、この建物の場合、不動産売却における減価償却費は837万円となり、不動産売却時の取得費として計上する購入代金は、2,000万円-837万円=1,163万円となるのです。
減価償却費はこのような計算方法で算出することができますが、「税金のことは難しく感じる」という方は、ご自身で正確に算出するのが難しいかもしれません。
したがって、正確な減価償却費は、不動産会社や税理士といった専門家のサポートを受けながら計上することをおすすめします。
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それでは最後に、不動産売却における減価償却費を計算する際に、どのようなことに気を付けると良いのか、知っておくべき注意点をお伝えしましょう。
先ほどもお伝えしましたが、減価償却の対象になるのは、建物のみです。
したがって、不動産売却時の取得費を算出する際には、建物のみの購入代金を把握しなければなりません。
売買契約書などに、建物の代金と土地の代金を分けて明記されているケースがほとんどですが、なかには合計金額のみが記載されているものもあります。
建物と土地の金額を分けて記載していない売買契約書の場合は、建物のみの金額を算出する必要があります。
土地は非課税であることから、記載されている消費税は建物のみに課されている税額です。
以下のように、消費税額を税率で割って逆算することで、建物のみの金額を算出することができます。
建物の購入代金=(消費税額÷税率)+消費税額
たとえば、消費税額が100万円で、税率が5%のときに購入した建物の代金を算出する場合、次のような計算式になります。
(100万円÷5%)+100万円=2,100万円
なお、消費税額を用いて建物の購入代金を算出する際は、購入したときの税率で計算してください。
このように、建物のみの購入代金がわからない場合は、消費税から算出できることを覚えておきましょう。
不動産購入後、リフォームやリノベーション、増改築などをおこなって、購入したときよりも資産価値を高める効果がある場合は、その費用を取得費に含めて減価償却費を計算します。
たとえば、2,100万円で購入し、200万円かけてリフォームをおこなった場合、減価償却費を算出する際には「2,100万円+200万円=2,300万円」が、購入代金となるのです。
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不動産売却をおこなった際の譲渡所得の計算に必要な、「減価償却費」の概要と計算方法を解説しました。
減価償却費は、不動産売却時の譲渡所得税に深く関わってくるため、売却時の資金計画を立てるためにも理解を深めておくことが大切です。
新和不動産は、つくば市、つくばみらい市、常総市、坂東市、牛久市、土浦市などの茨城県南エリアを中心に不動産売買をサポートしております。
税金に関することも経験豊富なスタッフがご相談に応じますので、不動産売却をご検討の際は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。